企業訪問

企業訪問


 今回の企業訪問はドイツのレーザーシステムメーカーであるLPKF Laser & Electronics AGの日本販売拠点であるLPKF Laser & Electronics株式会社【〒273-0012 千葉県船橋市浜町2-1-1 ららぽーと三井ビル4F】(以下LPKF)を訪れ、インタビューを行った。また、展示会場でドイツの本社から来日中のNils Heininger氏にもインタビューを行った。

LC:はじめまして、レーザー・コンシェルジェです。
LPKF:初めまして代表取締役 ベルンド・ストラウスです。
LC:私達はレーザー加工の情報サイトを運営しております。今回は御社の各種レーザーについて色々お話しをうかがえればと思いますので、宜しくお願いします。
LPKF: ええ、私達の会社についてまた、レーザーシステムについて日本の技術者の方にもっと知っていただければと思います。
LC:ありがとうございます。
LPKF:こちらこそ、宜しくお願いします。

=LPKFについて=
LC:では、まず最初にLPKFについて聞かせて下さい。
LPKF:当社はLPKF Laser & Electronics 株式会社はドイツ本社のLPKF Laser & Electronics AGの100%出資子会社として2010年に設立されました。ですから今年で5年を迎えました。
LC:ドイツ本社はいつ設立なんですか?
LPKF:ドイツ本社は1976年にガーブセンで設立され、基板試作加工機におけるパイオニアメーカーです。LPKF社名の由来はプリント基板切削の意味をもつドイツ語(=Leiterplatten-Kopierfrasen)から考案されました。
LC:そうなんですか。
LPKF: LPKFは、画期的なプリント基板のプロトタイプ社内製造方法で一躍有名になり、CAD制御切削技術はエッチングの効率的で無公害の代替手段として確立されました。幅広い製品を取り扱う私達LPKFは、社内プロトタイピングの全作業順序をカバーしています。90年代初頭にレーザー・システム開発から指示ディスク生産まで提供サービスを拡張しました。さらに現在ではレーザーも一部内作化しております。
LC:現在ではレーザーから装置までをモーラしているんですね。
LPKF:すべてを行うことでユーザーの意見を取り入れることもやりやすくなりますから。
LC:全社で従業員はどれぐらいなんですか?
LPKF:現時点の従業員数は全部で800人です。
LC:拠点は何カ所ぐらい有るのでしょうか?
LPKF:アメリカ、アジアなどに支店が9カ所、工場は欧州に4カ所です。
LC:プリント基板関連となるとやはりアジアが多いのですか?
LPKF:そうですね支店のほとんどはアジアとなっています。

日本支社併設のショールーム


3D回路作成装置 LPKF ProtoLaser 3D
=LPKF製品について=
LC: LPKFの製品ラインナップはどのようになっていますか?
LPKF:レーザーテクノロジーを柱に、PCB 基板製造やマイクロエレクトロニクスにまつわる、開発装置及び生産装置の設計/製造/販売をしています。また、非常にユニークな技術~3D 筐体回路構築技術(=MID)~の提供もプライオリティーの高いミッションとして取り組んでおります。具体的には前述のプリント基板レーザー加工装置をはじめ、レーザーステンシル加工装置、レーザー樹脂溶着装置、LDS(レーザーダイレクトストラクチャリング)装置、薄膜太陽電池のスクライビング装置などとなっています。
LC:様々なマーケットで使用されているのですね。


3D回路作成装置 LPKF ProtoLaser 3D


LPKF ProtoLaser 3Dによる加工中のワーク
LPKF:プリント基板レーザー加工装置は電子機器の基板の成形用装置でいろいろなレイアウトの基板を迅速、簡単に作成できます。銅箔付FR4、アルミ箔付PETフィルム、セラミック、デュロイド、PTFEなど多彩な材料に加工可能です。レーザーステンシル加工装置はいわゆるメタルマスクの加工装置です。レーザー樹脂溶着装置はプラスチック同士をレーザーにより接合する装置で、こちらはスタンドアロン型と産業対応型の各種モデルをラインナップしております。LDS装置は立体構造の部品表面に三次元的に回路をパターニングする装置でスマートフォンなどのモバイル機器に使用されている技術です。薄膜太陽電池のスクライビング装置は薄膜系の太陽電池の製造工程のひとつのスクライビング工程で利用される専門的な装置です。
LC:なるほど。どれも精密なレーザー加工ですね。

=デモルームについて=
LC:日本支社ではどのような活動をされているのでしょうか?
LPKF:営業活動はもちろんのことサービスサポート、試作やデモ加工なども行っております。そのためオフィススペース以外にもショールーム兼デモルームのスペース、修理メンテナンスの行えるスペースを備えております。
LC:活動には十分なスペースがあるんですね。デモスペースにはどのような装置があるのでしょうか?
LPKF:では実際にお見せします。こちらがショールーム兼デモルームです。こちらには2台の装置が置いてあります。1台は基板の穴開け装置でこちらはレーザーではなくドリルツールでの穴開け加工装置です。もう1台はLDS装置で治具などの準備は必要ですが立体構造の部品表面に三次元的な回路のパターニングが行えます。
LC:なるほどこちらがLDS装置ですか。
LPKF:サンプル加工が行えるように準備していますので是非ご覧下さい。


LC:ありがとうございます。ではお願いします。
LPKF:今回はこちらの部品にレーザーを照射し表面を活性化させます。治具に部品をセットし、あとはスタートするだけです。
LC:あっという間ですね。
LPKF:レーザーの走査部分はCADで簡単に変更できますから製品の試作には非常に向いていると思います。
LC:そうですね。そこがレーザー装置の魅力でもあります。
LPKF:今はこのようなアンテナ部品が多いですが、今後は様々な応用を期待しています。
LC:今後は他にもデモ用の装置を増やす予定ですか?
LPKF:もちろん増やす予定です。まだ具体的なスケジュールは決まっておりませんが、やはり日本国内でのサンプル加工を必須とするお客様が圧倒的ですので、順次増やして行ければと思っております。まずは溶着装置からがいいのではないかと思っております。もちろんドイツでは様々なサンプル加工に対応しております。

=メッセージ=
LC:ありがとうございました。では最後にターゲットユーザーにメッセージをお願いします。
LPKF: LPKF Laser & Electronics株式会社、代表取締役のベルンド・ストラウスです。弊社のレーザー装置は皆様の製品開発に大きな手助けを行える装置になっております。レーザーテクノロジーを柱に、PCB 基板製造やマイクロエレクトロニクスにまつわる、開発装置及び生産装置の設計/製造/販売を行っています。特に非常にユニークな技術の3D 筐体回路構築技術(=MID)であるLDS装置は皆様の立体部品を簡単に回路にしてしまう能力を持っております。発想次第で様々な応用が可能だと思います。ここでサンプル加工も行えますので是非お問い合わせ下さい。


=スペシャルムービー=

LPKF ProtoLaser 3Dによる加工のムービー



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= Nils Heininger氏へのインタビュー=
LC:はじめましてレーザー・コンシュエルジェ株式会社の中村です。
LPKF:はじめましてLPKF Laser & Electronics AGのNils Heiningerです。
LC:私たちは日本でレーザー加工専門のWEBサイトを運営しており、日本の技術者の方々にレーザー加工の可能性を知ってもらっています。
LPKF: そうですか。それは素晴らしいですね。私たちもレーザー加工装置を販売しておりますのでそのようなWEBサイトがあると心強いですし、レーザー加工を知ってもらえれば私たちの製品を知ってもらえることにもなりありがたいです。
LC:ありがとうございます。本日は展示会の中、お忙しいところお時間いただきありがとうございます。今日は御社についていろいろ教えていただければと思っておりますのでよろしくお願いします。
LPKF:わかりました。こちらこそよろしくお願いします。




LC:では、最初にLPKFの概略について教えていただけますか?
LPKF:LPKFは1976年にガーブセンで設立され、基板試作加工機におけるパイオニアメーカーです。現在では守備範囲が広がり、ラピッド・プロトタイピング部門、カッティングおよびストラクチャリング・レーザー部門、レーザー溶接部門、そして薄膜加工部門の4つの部門に分かれています。売り上げは9000万ユーロを超えました。欧州、米国、アジアなどの主要な地域に支社、代理店があり販売およびサポートのネットワークも確立しており顧客満足にも勤めております。
LC:約40年で様々なアプリケーションに参入されたのですね。ドイツ企業らしく着実に業績を伸ばし拡大されたのですね。日本支社は5年目に入るそうですが、どのような位置づけで設置されたのでしょうか?
LPKF:日本は少し前までは先端技術の工場が多くあり、弊社のPCB加工機も多くのお客様に利用していただきました。しかしながら生産工場は日本からコストの安い東南アジアや中国に変わっていきました。そのような状況で日本支社を設立したのは日本企業の発想に期待をしているからです。
LC:なるほど。確かに工場は中国や東南アジアへ移ってしまいましたが、最先端技術の必要な工場や開発拠点は日本国内に残っていますから。
LPKF:そうです。私たちは日本の開発力の高さに注目し、いずれは大量生産に移って行くであろう部品や製品の開発現場である企業の開発拠点に私たちの製品がぴったりではないかと考えております。
LC:確かに確かに。開発拠点では短時間で部品作りをする必要が有りますし、御社の装置もそのための装置ですからマッチしていますね。
LPKF:また日本の企業は新しいモノを作ることに非常に優れていると感じています。私たちのLDS装置はそれを手助けするのに十分な能力を持っており開発現場でお役に立てると信じています。
LC:具体的にLDS装置はどのように使用されるのですか?
LPKF:LDS装置はレーザー・ベースのMID(成形回路部品)製造手段のひとつです。従来LDS装置は成形部品に特殊な樹脂を混ぜ込む必要が有りました。そのため金型を作り部品を作る必要が有りましたが、私たちはこれを改善し、部品の上に塗装するだけで回路加工が行える技術を確立しました。概略工程としては、まず部品へ塗装、その後回路パターンをレーザーで描画します。レーザーが照射された部分は表面が活性化されます。この部分がメッキ処理により回路を成型します。このように非常に簡単に三次元的に部品への回路成型が行えます。
LC:それは画期的ですね。
LPKF:熱に対しても十分な性能があり、セラミックスやガラスに塗装すれば耐熱部品回路として使用いただけますのでこれまでの樹脂のみに比べ応用範囲はかなり拡大されました。
LC:考え方次第で使い方はかなり広がりそうですね。
LPKF:すでにLEDの回路とヒートシンクを兼ねた部品の提案も行っております。
LC:なるほどLDS装置については楽しみですね。日本のマーケットにぴったりでもありますし。本日はお忙しい中ありがとうございました。最後に日本の技術者にメッセージをお願いします。


=Nils Heininger氏からのメッセージ=

日本のみなさんこんにちは。 LPKF Laser & Electronics AGのNils Heiningerです。
弊社はレーザーテクノロジーを柱に、PCB 基板製造やマイクロエレクトロニクスにまつわる、開発装置及び生産装置の設計/製造/販売を行っています。とくに3D回路成型を行えるLDS装置は開発に適した装置で、短時間で試作品を製造しなくてはならない開発現場で強力なツールとして利用していただけると思います。是非、弊社の日本支社であるLPKF Laser & Electronics 株式会社にコンタクトしていただき、LDS装置の性能を確かめて下さい。



レーザー溶着装置 LPKF PowerWeld 2000

LPKF PowerWeld 2000レーザー溶着システムはその長所から名称をつけられました。
この装置はお客様のニーズを元に、インラインで精密なプラスチック溶着ができるように設計されています。

すべてのアプリケーションへの最適化
コンパクトかつカスタマイズ可能なハウジング
加工に適したレーザーソースとハンドリングシステム
オンラインプロセスモニタリング
量産品への対応

PowerWeld 2000はタッチパネルで直感的に操作できます。シーメンス社のSPCコーポネントがスムースな連続生産を可能とします。ソフトウェアProSeTが標準装備されており、迅速に溶着線を作成できます。パイロットレーザーにより溶着線を視認可能で、回転テーブルのような追加のオプションは、加工時間の短縮、品質のトラッキングなど役立ちます。

μm単位でのプラスチック溶着

MF-ヴァージョンはLPKFの高精度ファイバーレーザーによりμm単位で微細な溶着線を作ることができます。特にマイクロ流体デバイス向けに活用されております。

リスククラスⅢに分類された医療機器向けに最適
クリーンルームにも適応したシステムと技術
製品のトラッキング&トレーシング
モジュール拡張オプション

LPKFは医療機器関連向けのレーザー溶着に対して豊富な経験を持っています。ドイツ・フルトにあるアプリケーションセンターは製品、プロセスデザインについてご提案します