プロセス道
第6回 UVレーザーによる金属薄膜への微細加工
UVレーザーは薄膜除去や薄膜改質の加工に利用されることがありますが、今回はその薄膜加工について注目したいと思います。

■金属薄膜に対するUVレーザー加工

今回は金属薄膜に対するUVレーザー加工です。前回UVレーザーにとって金属は苦手と説明しましたが薄膜となると話が変わります。nsオーダーの短時間で高いフォトンエネルギーがターゲットとなる材料に投入されます。UV光そのものは材料のごく表面でほとんど吸収されます(もちろん材料によっては反射率が高い材料もありますが)。その後表面から溶解し爆発するように外部へと放出されます。材料内部へ進む加工の方はこの衝撃波により急激な下降が行われアスペクト比の高い加工が行えます。このとき加工が真空中で行われていると材料外部へ放出された物質はほとんど何かに邪魔されることなく運動エネルギーが果てるまでどこかへ飛んでいきます。そのため加工面に付着する確率は少なく加工面がきれいに見えます。研究発表に使う写真はきれいに見せるため真空中での加工を行ってたりします。酸素などの反応しやすいガスがあると酸化物となったり、急激に運動エネルギーを失って自由落下したりします。落下した時の温度が高温だとターゲット材料上で反応したり溶着したりします。属にデブリと呼ばれるものです。


薄膜除去の加工例

金属でも薄膜のレーザー加工だと金属が完全に溶けるため希望する結果が出やすくなります。ただし下地に関して全く無傷での加工は不可能な場合が多くレーザーによる完璧な加工は求めないようにしてください。下地がセラミックスなどの種類でも膜が飛んでいくときに下地をつかんで加工されていくことがあります。ただフォトリソのように完璧なコントロールが望めない分、ドライプロセスで手軽に薄膜除去できる強みがあります。

薄膜改質の加工例
その長所を生かしたプロセスが様々なジャンルで利用されています。樹脂上の銅箔だったり金属上の金箔だったりガラス上のクロム箔だったりと様々な組み合わせが存在します。これらをUVパルスレーザを使用して加工するとほぼ希望通りの加工が得られます。また薄膜除去ではなく改質(アモルファスシリコン膜をポリシリコン膜へなど)などにもUVレーザーは使用されています。UVレーザーは元はこのように薄物や微細な加工を目的とされていましたが、近年では厚い材料への利用が増えており前回の話の通り技術者の頭を悩ませているようです。