プロセス道
第8回 レーザーによるレーザーアニール
レーザーアニーリングに使用されるレーザーについて紹介します。

■グリーンレーザーでのアニール

さて今回はUVレーザーによる薄膜加工第2弾としてレーザーアニールをご紹介します。さて今回は前回のUVレーザーアニールにつづきグリーンレーザーでのアニールもご紹介します。前回の続きですが、まず308nmのエキシマレーザーがチョイスされた理由です。前回でも少しお話ししたとおり、最大の理由がパルスエネルギーが大きくビームサイズが大きかったからです。TFTは大面積を加工する必要がありビームをラインビームに成形する必要がありレーザーパワーによってラインビームの長さが決まります。そのためパワー的に有利な308nmが選ばれました。長いラインビームはスループットの向上につながります。(その他にもビームの重なり合わせの問題もあるのですが)現在はエキシマレーザーもかなりハイパワー化されラインビームの長さも延びてきました。しかしそれ以上に基板サイズが大きくなってきてさらなるブレイクスルーが求められています。そこで最近DPSS(LD励起固体レーザー)の532nm(グリーン)を搭載した装置が開発されています。


グリーンレーザーアニールシステム

アモルファスシリコンのバンドギャップエネルギーは1eVぐらいですからグリーンレーザーでも十分にアブレーション可能です。(アニーリングの場合はアブレーションというよりは改質と言った方が正確ですが)DPSSの高繰り返し(またはCWやQ-CW)を利用し高速にスキャンすることによりスループットをかせぎます。エキシマレーザーに比べ、ガスが不要なことで配管のイニシャルコストやメンテナンスコスト、そしてランニングコストが抑えられることで大きなメリットとなり注目を集めています。

グリーンレーザーアニールシステム
もちろん本当はUVのDPSSを使いたいところですがまだまだパワーが足りません。UVレーザーがハイパワーになればUVレーザーの活躍の場がまた増えることになるでしょう。最近ではUVレーザーを数台使用してビームを重ね合わせる技術も出てきました。業界でのUVはやはり期待されているようです。しかし「グリーンレーザーの方がより深い領域まで改質を行えるので良いのではないか?」とはいえ「UVレーザーの方が結晶粒径が大きくなるので有利」等の意見があり、最終的にどのレーザーに絞られるかは分かりません。その前に成膜技術のブレイクスルーが先に来て、ガラス基板へ直接シリコン結晶を積層することができるようになればレーザーの活躍の場が無くなってしまうのですが・・・