Mの部屋
第4回 何のための”測定”なのか?
いったいなんのために測定するのか?目的を理解していますか?
測定に対しての意識が違えば、本当の意味での測定が行えるのではないでしょうか?

■「測定」の意味する幅広さ

今回は「パワーメーターに求めるものは人それぞれ」というお話です。

パワーメーターにはサーモパイル型やフォトダイオード型などいくつかの種類があります。測定対象となるレーザーに応じた形で選択しなくてはなりません。
わかりやすいように具体的に例をあげて話を進めてみましょう。

・ある人が十分考慮のうえパワーメーターを選択し平均出力を測定しました。
そのときの結果が「1Wでした」とのこと・・・
・それに対して別な人が「1W±何Wでした?」と質問したとします。
測定者が数秒おきにログを録っておくなりすれば回答できるのでしょうが・・・
ではなぜ後者は「1W±何W」と聞いたのでしょうか?
おそらく後者はレーザーを”道具”として使ってる人であり、レーザーのカタログやスペックで表記されている「平均出力:○○W以上」、「平均出力:最大××W、最小□□W」ではなく「平均出力の変動幅」そのものが必要なのでしょう。



目的に合った測定機が必要

ではこの「平均出力の変動幅」にはどういう価値や重要性があるのでしょうか?
これはレーザーをどんな風に使うのかによって異なります。
レーザー加工においてレーザーの出力の振れ幅というのは加工に対して非常に大きな影響を与える場合があります。レーザーを完璧に安定して発振させるにはまだまだ課題があり、現状においては振れ幅は避けようのない現実です。


1Wと1.00Wでは異なります

最近ではパワーメーターのログ機能が非常に性能が上がったおかげで簡単かつ大量のデータをコンピュータに保存しておけるようになりました。少し前まではログといえばペンタイプのレコーダーに取っていたのですが、途中でインクが無くなるとまた長時間の測定のやり直しをしなくてはならないなどよく泣かされたものです。
このようにログを取っておけばレーザーの実際の振れ幅がわかり、振れ幅の最大、最小でも実際の加工に問題がないか確認できます。
もし問題が有ればどのように出力をコントロールすればよいかが大変になってしまいますが。
これらは大量、長時間の加工を行う生産現場では非常に重要な要素となっています。現在の加工現場での歩留まりの要求は当然のように100%に近くなっていますから、加工に関する測定項目対しては非常にシビアです。

平均出力の測定一つとってもこういった意識を持っているのと、持っていないのとでは計測の行い方が変わるのではないでしょうか?