特集

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展示会紹介 LASER World of PHOTONICS 2023

LASER World of Photonics は、レーザー、光学、光学製造技術、センサ、測定技術などレーザー技術の全分野をカバーした展示会です
会 期 : 2023年 6月27日(月)~6月30日(木) / 会 場 : New Munich Trade Fair Centre (新ミュンヘン貿易センター)

 6月27日(月)~6月30日(木)の4日間、ドイツ・ミュンヘンのNew Munich Trade Fair Centre (新ミュンヘン貿易センター) にてレーザーオプトロニクス、光学、光学製造技術、センサ、測定技術などを一堂に集めた世界最大のレーザーとレーザーシステム及び光学系の専門展「LASER World of PHOTONICS 2023 」【主催:Messe München GmbH /TEL(+4989)949-11468】が開催された。

 レーザーシステム及びレーザー機器、レーザー測定器に関する専門展だ。1973年に始まったこの展示会は2年に1度開催されており、今年で50周年を迎えた。この展示会に出展する多くのメーカーはこの展示会に合わせて新製品の発表を行うほどで、この展示会の重要性は高い。もちろん世界各国からレーザー及び光学製品に関連するメーカーが出展しており、来場者も世界各国から集まっている。同時に開催されるワークショップやセミナー等も開催されており、単なる展示会にとどまらず新しい技術発表の場としても重要な展示会となっている。「World of QUANTUM 2023」も加わり光と量子の複合展示会となってきた。
 今回の出展社数は40カ国から1,300社、来場者登録数は4日間で70カ国から40,000人の関係者が訪れたと発表され、コロナ前の数字に戻った。今回は、スマートオートメーション・ロボティクス専門見本市の「AUTOMATICA 2023」も同時開催となりレーザーとオートメーションの深い結びつきから来場者数が増加し過去最高の来場者数となった。会期中は各国から来場した多くの関係者が新製品の発表を熱心に聞いていた。

展示会会場内にはフォーラムブースも設置され以下のフォーラムが開催された。

  • BIOPHOTONICS AND MEDICAL APPLICATIONS
  • LASERS & OPTICS
  • LASER MATERIALS PROCESSING
  • WORLD OF QUANTUM
  • QUANTUM SCIENCE & INDUSTRY



また、同展示会では「World of Photonics Congress」というレーザー技術および光学技術のあらゆる側面に焦点を当てたプラクティス指向の講義プログラムが同時に開催で行われており、研究だけで無く産業にも焦点を当てた国際会議となっている。

今回「World of Photonics Congress」で開催された国際会議は以下の通り。 

  • Application Panels—Lasers and Photonics in Actual Practice
  • CLEO/Europe – EQEC 2023
  • Lasers in Manufacturing (LiM 2023)
  • Digital Optical Technologies
  • Optical Metrology
  • European Conferences on Biomedical Optics (ECBO)


ミュンヘン 

 ドイツの南に位置する都市ミュンヘンはバイエルン州の州都であり、英語などではMunichと綴られ、ミュニックと発音します。ドイツ第3の都市でありながら治安はドイツで一番良いとも言われていて、この季節は日照時間が長く、また季候も良いため、多くの観光客が訪れ、街が非常に賑わいます。週末には各広場で屋台が数多く軒を連ね、音楽や踊りのイベントなども行われます。新市庁舎のあるマリエンプラッツェも踊りや音楽そしてビールを楽しむ人であふれかえりとても賑わいます。

バイエルン州と言えばピンとくる方も多いようにビールとヴァイスヴルスト(白ソーセージ)が特に有名です。ミュンヘンを訪れた方はテラスでソーセージをつまみにビールを飲んでしまうと思います。ただ、このヴァイスヴルストは非常に傷みやすいため、早朝に準備して、朝食と昼食の間に食べるのが伝統。新鮮なヴァイスヴルストはコンソメなどで茹で、冷めないように茹で汁とともに大きなボウルに入れてテーブルに運ばれます。皮をむいてバイエルン風の甘いマスタードを付けて食べるととても美味しいのでついつい食べ過ぎてしまいます。実はボールに入ったゆで汁も美味しいスープに・・・。こっそり味わいましょう。

ヴァイスヴルスト(白ソーセージ)

新市庁舎

仕掛け時計の人形

 ドイツでもビールと言えばピルスナーが人気ですが、『デュンケル』(黒ビールよりやや赤みのある焦げ茶色のビール)や『ヴァイツェン』(小麦から作られ、ほかと比べて泡が多くさらっとしているビール)も是非お試し下さい。そしてビールを飲むときはレストランやビアホールもいいですが、チャンスがあれば街中にも多数あるビアガーデンを楽しんで下さい。レストランでは0.5リットルのグラスが標準サイズですがビアガーデンではなんと1リットルのジョッキでやってきます。この季節のドイツは夜10時近くまで明るく、気分は昼間から飲んでる感じで思う存分ビールを楽しめます。

市内中心部の観光スポットとしてはマリエン広場に「新市庁舎」(新といっても建築後約100年が経過している)があります。そこにあるのがドイツ最大の仕掛け時計で11時と12時(夏季17時)にはほぼ人間の大きさの人形32体と鐘が結婚式を再現した動きとメロディーを披露。鐘が鳴り始めるとみんな一斉に見上げて、その優雅な動きにしばしうっとり・・・。

新ミュンヘン貿易センター(New Munich Trade Fair Centre )

Uバーンと新ミュンヘン貿易センター

 LASER World of PHOTONICS 2023の会場はドイツ・ミュンヘンの『新ミュンヘン貿易センター』で、会場へはミュンヘン中央駅からUバーン(U2)で約20分。『新ミュンヘン貿易センター』は非常に広大な会場で、1ホールあたり、161m X 71m 、約11,000 m2の展示スペースとなっており、このスペースがなんと17ホール、屋内展示場の総面積は180,000 m2と幕張メッセの約3倍の屋内展示面積がある。今回の展示会ではこのホールを5つと中央ホールを使用して開催された。初めて来場される方は口々に展示会の規模の大きさにびっくりされています。
わかりやすく今回の展示スペースの広さを比較すると『東京ビッグサイト』の東館1-7ホールとほぼ同じのスペースがレーザーやレーザーシステム、光学系やレーザー測定器で埋め尽くされていることになる。『幕張メッセ』で比較すると本館1-8ホールすべてがレーザーやレーザーシステム、光学系やレーザー測定器で埋め尽くされていることになり、それだけの展示を見て回るのだから見る方も凄く大変だ。

LASER World of PHOTONICS 2023

メインゲートを入ると中は広いエントランスになっており、右手にチケットコーナーがあるが、現在はオンライン手続きとなっているため昔のようにチケットの購入や手続きで並ぶ必要は無くなった。オンラインでチケットを購入するとQRコードが発行され、それを事前にプリントアウトして入場ゲートでかざすと入場証が発行されるので、それをチケットホルダーに入れ首からぶら下げていよいよ展示会場に入ることになるが、ガイドブックとにらめっこして、回る順番をしっかりと決めなければ見逃してしまうこともあるので、焦らずに目的をもって行動することが大事です。それでなくとも相当な距離を歩かされることになるのだから。特に人気のありそうなブースや新製品を発表しているブースは混雑するので早めにチェックする方がいいでしょう。午前中は比較的混雑は少ないのでゆっくり質問したい方にはおすすめの時間帯です。
各ホールのカテゴリー分けは以下の通りです。
A1:WORLD OF QUANTUM
A2:レーザーおよびオプトエレクトロニクス
A3:レーザーおよびレーザーシステム
B1:光学系
B2:レーザーおよびオプトエレクトロニクス、バイオフォトニクス
B3:レーザーおよびレーザーシステム
今回はこれに加えてautomatica がA4、A5、A6、B4、B5、B6の6ホールを使って同時開催となりました。
(取材、撮影、記事、編集:中村昌弘)


広大な展示会場のホール。幕張メッセ1-8ホールのおよそ4倍のホール面積を持つと言えば大きさが想像できるだろうか。














レーザー・コンシェルジェが注目した製品
レーザー発振器
ナノ秒IRファイバーレーザー
TRUMPF:TruPulse 2060

トルンプののブースでは毎回新製品のお披露目があるが今回もいくつかの新製品が展示されていた。中でも「TruPulse 2060」はこれまでの「TruPulse 2030」の出力とエネルギーをアップさせた製品でエネルギーは2mJ 、出力は600W、しかもビーム品質もM2=1.3と向上しており、応用範囲の広がる製品となっている。金属薄板切断や穴あけ、および溶接はもちろんのこと金属へのカラーマーキングや自動車部品や電子部品の加工、そして最近売上を伸ばしているレーザークリーニングの光源としても使用できる。ファイバーレーザーなのでコストパフォーマンスが良く安定性も良いのでレーザークリーニングなどの屋外で使用される装置にも相性が良い。

レーザー測定器
高出力レーザー用パワーモニター
PRIMES:FocusTracker FT

高出力レーザー用測定器および診断機器の専門メーカーであるプリメスではレーザービーム測定器やモニタリング装置などの展示が行われていた。中でも「FocusTracker FT」は、23年2月に発売を開始した新製品で焦点シフトを分析し,レーザーの正確な焦点位置を決定するために特別に開発された。リアルタイム,最大40Hzでフォーカス位置情報を提供することにより,光学セットアップの熱影響をこれまで以上に深く理解することができる。また,同社の「Laser Diagnostics Software」を利用することにより,使用頻度の低いユーザでも,プロセスに影響が及ぶ前に光路の問題を修正する事が可能になるとしている。

レーザー発振器
フェムト秒IRレーザー
LIGHT CONVERSION:CARBIDE CB3-120W

ライトコンヴァージョンでは、同社の主力製品「CARBIDE」の新製品として出力アップされたモデル「CARBIDE CB3-120W」の紹介が行われていた。これまでの最高出力だった「CARBIDE CB3-80W」に比べて出力は1.5倍の120Wになった。最小パルス幅は80Wモデルの350fsに比べ250fsと短くなったが、パルスエネルギーは80Wモデルの2mJに比べ1mJと半減した。つまり1mJという高エネルギーを100kHz以上の繰り返しで高速に発振できるのでポリゴンミラースキャナーなどとの組み合わせで超高速な加工が行えることになる。ロールtoロールなどのアプリケーションに強いモデルと言える。
レーザー発振器
フェムト秒IRレーザー
Spectra-Physics:IceFyre FS IR200

MKS Instruments Photonics Solutions部門のスペクトラ・フィジックスでは、新製品として産業用フェムト秒レーザー、「Spectra-Physics IceFyre FS 」の高出力モデルの紹介が行われていた。IceFyre FS IR200は波長1030nm、パルス幅500fsで200Wの高出力を発振するレーザーとなっており、最大繰り返し周波数は50MHzと超高速だ。パルスエネルギーは200μJ@1MHzと薄膜除去などには十分なエナルギーでポリゴンミラースキャナーなどとの組み合わせで高速にITOなどの薄膜除去が行える。なおこちらのUVモデルも用意されており、UVモデルは出力50Wとなっている。
レーザー発振器
フェムト秒IRレーザー
Fluence:Halite 2

フルエンス社のブースでは各種フェムト秒IRレーザーの展示が行われていた。同社はポーランドに本社が有り、ポーランドの学術機関で開発された最先端のオールファイバーフェムト秒技術を商業化するために2016年に設立された新しい会社です。2Wの低出力モデル「Halite 2」から、5Wのコンパクトモデル「Jasper Micro」、60Wまでの高出力モデルがある「JasperX0」シリーズまでラインナップを揃えている。オールファイバーレーザーの耐振動性を紹介するためにレーザーを空中にぶら下げて稼働させ、出力の安定性をモニターで見せる展示も行われていた。
レーザー発振器
ピコ秒DeepUVファイバーレーザー
IPG Photonics:ULPP-257

IPGフォトニクスのブースでは毎回多くの新製品が発表されるが今回も多数の新製品の発表が行われていた。中でも深紫外のファイバーレーザーはCW、ナノ秒、ピコ秒の3種類を新製品発表する力の入れようとなっている。多くのメーカーが深紫外レーザーから撤退してる中、同社は半導体向けの樹脂薄膜加工に向けたマーケットのシェア確保のために深紫外を開発したとのこと。
 ピコ秒深紫外ファイバーレーザーモデルの「ULPP-257」は波長257nm、パルス幅1ps、エネルギー10µJの10Wモデルとなっている。
レーザー発振器
ピコ秒DeepUVレーザー
COHERENT:HyperRapid NXT 266

コヒレントのブースではフェムト秒レーザーの「Monaco UV」の50Wモデルとピコ秒レーザーの「HyperRapid NXT」の深紫外モデルが新製品として紹介されていた。「Monaco UV」は波長345nm、パルス幅:400fsのレーザーで、これまでの25W、30Wに今回の50Wが追加された。「HyperRapid NXT」はこれまでIR、グリーン、UVとラインナップされていたが今回さらに深紫外の波長266nmモデルが新製品として追加された。パルス幅10ps、エネルギー12.5µJ、出力10Wのレーザーとなっており、深紫外を必要とする樹脂薄膜などの加工に利用できる。
レーザー発振器
半導体IRレーザー
Laserline:LDM10000-100

レーザーラインではブルー半導体レーザー「LDF blue」シリーズの4kWモデル「LDF blue 4000」とIR半導体レーザー「LDM」シリーズの10kWモデルを新製品として紹介していた。半導体レーザーは年々変換効率が上がっており、その恩恵を受けて同じ筐体サイズながら高出力化している。特にチラーを別とした「LDM」シリーズは19インチラックマウントサイズのモジュールにファイバー結合型レーザーヘッドと、電源、冷却装置、レーザの監視および制御用電子機器を一体化されており非常にコンパクトながら10kWの高出力を提供する。半導体レーザーのコストメリットが年々活かされる形になっている。
レーザー発振器
高速フォーカス可変ユニット
Robust AO:Zwobbel

ロブストAO社はFraunhoferで長年AO(アダプティブオプティクス)の研究をしていたメンバーが2022年に立ち上げたドイツの会社だ。今回展示を行っていた「Zwobbel」シリーズはピエゾ機構によりミラーの曲率を可変させることでフォーカシングするミラーでガルバノスキャナーと組み合わせることで非常に高速な3D加工が行える。従来のフォーカスレンズ移動型の3Dスキャナーに比べ40%も高速化され加工タクトを上げることが出来るうえに非常にコンパクトな構造となっている。フォーカスストロークはf=200mmのレンズを使用した場合で15mmある。出力は最大6kW(CW)まで対応しており、波長はIRの他にグリーンとCO2が用意されている。
チラー
ペルチェタイプチラー
SMC:ラックマウントタイプHECR

SMCは自動制御機器製品や焼結濾過体および各種濾過装置の製造を行っているメーカーでレーザー業界向けには主にチラーの製造販売を行っている。今回の展示会では同社の各種製品の紹介が行われていた。今回展示されていたペルチャタイプのラックマウント型チラーは、マーケットからの要求の多かった19インチラックマウントタイプ3HUの薄型で冷却能力は510Wとなっており、昨今の短パルスに向けた冷却能力の製品となっている。なおこのチラーは2023年10月発売予定となっている。
レーザー発振器
フェムト秒IRレーザー
DURMA NEXT:ULTRA-FAST

ドゥルマネクスト社では同社の各種レーザーの展示が行われていた。同社はトルコに本社を置く会社でレーザーおよびレーザー装置の製造販売を行っている。
レーザーは2kW~15kWの高出力ファイバーレーザー、100W~300Wの空冷シングルモードレーザー、そしてフェムト秒レーザーとなっている。フェムト秒レーザー「ULTRA-FAST」は波長1030nm、エネルギー100µJの30Wレーザーで、パルス幅は350fs~5psのチューナブルとなっている。
レーザー光学系
ガルバノモーター
キヤノン

キャノンのブースではガルバノスキャナーモーターNew GMシリーズの展示を行っていた。こちらはまだ参考出品のようだが、トラッキングエラーを25%向上(10mmミラーで75rad/secの速度のときの同社製品比較)できる製品になるとのこと。また大型ビームに対応するための大型ミラーの展示も行われていた。こちらも参考出品だがΦ30mm、Φ40mm対応のミラーをそれぞれ検討中とのこと。



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Amplitude
Amplitude
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