

特集
- 展示会紹介 LASER World of PHOTONICS 2025

LASER World of Photonics は、レーザー、光学、光学製造技術、センサ、測定技術などレーザー技術の全分野をカバーした展示会です
会 期 : 2025年 6月24日(火)~6月27日(金) / 会 場 : New Munich Trade Fair Centre (新ミュンヘン貿易センター)
レーザーシステム及びレーザー機器、レーザー測定器に関する専門展だ。1973年に始まったこの展示会は2年に1度開催されており、今年で26回目となる。この展示会に出展する多くのメーカーはこの展示会に合わせて新製品の発表を行うほどで、この展示会の重要性は高い。もちろん世界各国からレーザー及び光学製品に関連するメーカーが出展しており、来場者も世界各国から集まっている。同時に開催されるワークショップやセミナー等も開催されており、単なる展示会にとどまらず新しい技術発表の場としても重要な展示会となっている。「World of QUANTUM 2025」も加わり光と量子の複合展示会となってきた。
今回の出展社数は41カ国から1,398社、来場者登録数は4日間で74カ国から44,000人の関係者が訪れ、過去最高の来場者数となったと発表された。今回もスマートオートメーション・ロボティクス専門見本市の「AUTOMATICA 2025」が同時開催となりレーザーとオートメーションの深い結びつきから来場者数が増加し過去最高の来場者数となった。会期中は各国から来場した多くの関係者が新製品の発表を熱心に聞いていた。
展示会会場内にはフォーラムブースも設置され以下のフォーラムが開催された。
- Forum Biophotonics and Medical Applications
- Forum Integrated Photonics Applications
- Forum Laser Materials Processing
- Forum Lasers & Optics
- WORLD OF QUANTUM
- Insights Forum


また、同展示会では「World of Photonics Congress 2025」というレーザー技術および光学技術のあらゆる側面に焦点を当てたプラクティス指向の講義プログラムが同時に開催で行われており、2人のノーベル賞受賞者、Anne L'Huillier教授とFerenc Krausz教授を初め、世界トップクラスの研究者が集い、6日間にわたって知見を共有した。
今回「World of Photonics Congress 2025」で開催された国際会議は以下の通り。
- Application Panels—Lasers and Photonics in Actual Practice
- CLEO/Europe – EQEC 2025
- Lasers in Manufacturing (LiM 2025)
- Digital Optical Technologies
- Optical Metrology
- European Conferences on Biomedical Optics (ECBO)
ドイツの南に位置する都市ミュンヘンはバイエルン州の州都であり、英語などではMunichと綴られ、ミュニックと発音します。ドイツ第3の都市でありながら治安はドイツで一番良いとも言われていて、この季節は日照時間が長く、また季候も良いため、多くの観光客が訪れ、街が非常に賑わいます。週末には各広場で屋台が数多く軒を連ね、音楽や踊りのイベントなども行われます。新市庁舎のあるマリエンプラッツェも踊りや音楽そしてビールを楽しむ人であふれかえりとても賑わいます。
バイエルン州と言えばピンとくる方も多いようにビールとヴァイスヴルスト(白ソーセージ)が特に有名です。ミュンヘンを訪れた方はテラスでソーセージをつまみにビールを飲んでしまうと思います。ただ、このヴァイスヴルストは非常に傷みやすいため、早朝に準備して、朝食と昼食の間に食べるのが伝統。新鮮なヴァイスヴルストはコンソメなどで茹で、冷めないように茹で汁とともに大きなボウルに入れてテーブルに運ばれます。皮をむいてバイエルン風の甘いマスタードを付けて食べるととても美味しいのでついつい食べ過ぎてしまいます。実はボールに入ったゆで汁も美味しいスープに・・・。こっそり味わいましょう。

ヴァイスヴルスト(白ソーセージ)

新市庁舎

仕掛け時計の人形
ドイツでもビールと言えばピルスナーが人気ですが、『デュンケル』(黒ビールよりやや赤みのある焦げ茶色のビール)や『ヴァイツェン』(小麦から作られ、ほかと比べて泡が多くさらっとしているビール)も是非お試し下さい。そしてビールを飲むときはレストランやビアホールもいいですが、チャンスがあれば街中にも多数あるビアガーデンを楽しんで下さい。レストランでは0.5リットルのグラスが標準サイズですがビアガーデンではなんと1リットルのジョッキでやってきます。この季節のドイツは夜10時近くまで明るく、気分は昼間から飲んでる感じで思う存分ビールを楽しめます。
市内中心部の観光スポットとしてはマリエン広場に「新市庁舎」(新といっても建築後約100年が経過している)があります。そこにあるのがドイツ最大の仕掛け時計で11時と12時(夏季17時)にはほぼ人間の大きさの人形32体と鐘が結婚式を再現した動きとメロディーを披露。鐘が鳴り始めるとみんな一斉に見上げて、その優雅な動きにしばしうっとり・・・。
新ミュンヘン貿易センター(New Munich Trade Fair Centre )

Uバーンと新ミュンヘン貿易センター
LASER World of PHOTONICS 2025
メインゲートを入ると中は広いエントランスになっており、右手にチケットコーナーがあるが、現在はオンライン手続きとなっているため昔のようにチケットの購入や手続きで並ぶ必要は無くなった。オンラインでチケットを購入するとQRコードが発行され、それを事前にプリントアウトして入場ゲートでかざすと入場証が発行されるので、それをチケットホルダーに入れ首からぶら下げていよいよ展示会場に入ることになるが、ガイドブックとにらめっこして、回る順番をしっかりと決めなければ見逃してしまうこともあるので、焦らずに目的をもって行動することが大事です。それでなくとも相当な距離を歩かされることになるのだから。特に人気のありそうなブースや新製品を発表しているブースは混雑するので早めにチェックする方がいいでしょう。午前中は比較的混雑は少ないのでゆっくり質問したい方にはおすすめの時間帯です。
各ホールのカテゴリー分けは以下の通りです。
A1:WORLD OF QUANTUM
A2:レーザーおよびオプトエレクトロニクス
A3:レーザーおよびレーザーシステム
B1:光学系
B2:レーザーおよびオプトエレクトロニクス、バイオフォトニクス
B3:レーザーおよびレーザーシステム
今回はこれに加えてautomatica がA4、A5、A6、B4、B5、B6の6ホールを使って同時開催となりました。
(取材、撮影、記事、編集:中村昌弘)






レーザー発振器フェムト秒IR固体レーザー
TRUMPF:TruMicro 6030
トルンプののブースでは毎回新製品のお披露目があるが今回もいくつかの新製品が展示されていた。中でも「TruMicro 6030」はこれまでの「TruMicro 6020」の出力とエネルギーをアップさせた製品でエネルギーは200µJ@5MHz/2mJ@150kHz 、出力は300Wと、TruMicro 6020の1.5倍の性能となり応用範囲の広がる製品となっている。金属薄フォイルの切断や穴あけなどバッテリー関連や自動車部品、電子部品の加工の光源としても使用できる。マイクロプラスチックのろ過などのための膜のレーザー穴あけ加工では、出力の向上により、特殊な光学系を用いてレーザーパルスを最大500個の個別スポットに分割して加工が行えるとのこと。
レーザー発振器高出力半導体レーザー
laserline:ダイレクトレーザー LDLシリーズ
近年注目されつつあるレーザー加熱において新しいLDLダイレクトダイオードレーザーシステムは、コンパクトで効率的なソリューションを提供可能となる。ファイバーオプティクスを排除することで、コストと複雑さを軽減し、信頼性と使いやすさが向上。ダイオードエッジエミッターからの直接光子放出により、システムは56%以上の電気-光変換効率を達成。LDLモジュールをカスケード接続することで、革新的なモジュール・コンセプトは、数メートルにわたる大面積照射も可能とし、同時にシステム・サイズも大幅に縮小可能となる。
レーザー発振器CW2µmファイバーレーザー
COHERENT:ACE FL300
コヒレントのブースでは2つの2µmファイバーレーザーが新製品として展示されていた。1つがメディカル向けでもう1つが産業加工向けとなっていて、「ACE FL300」は産業向けの出力300Wレーザーだ。産業用ファイバーレーザーのACEシリーズは、透明ポリマー材料の加工といった特殊な要求を含む、幅広い困難な産業用途において、性能、精度、信頼性が高く、今回はその2ミクロン帯1940nmのレーザーで5kHzまでの偏重が可能となっている。 各社が2ミクロン帯レーザーを発表しているが、それだけ産業での要求が多くなっているということではないだろうか。
レーザー発振器ピコ秒UVレーザー
IPG Photonics:ULPP 257
IPG Photonicsのブースでは今回も多くの新製品が発表されていた。同社は大出力のファイバーレーザーメーカーシェアホルダーだが、近年では微細加工用のレーザーも数多くリリースしており今回も多数の微細加工用レーザーが発表されていた。その中のひとつである産業用ピコ秒レーザー「ULPP 257」は、波長257nm、パルス幅1ピコ秒のレーザーで出力は10W、繰返し周波数は100kHzから5.5MHzとなっており産業用として幅広い繰返し周波数に対応している。波長が257nmなので透明樹脂などの加工にも使用できそうだ。
レーザー発振器ナノ秒UVレーザー
QUANTEQ:Q_266
QUANTEQは高性能でコンパクトなダイオード励起固体レーザーを開発しているドイツのメーカーで、今回はコンパクトなナノ秒レーザー「Q_266」の展示が行われていた。このレーザーは波長266nm、パルス幅5nsの10Wナノ秒固態レーザーだがレーザーヘッドのサイズは200mm×110mm×30mmと驚くほどのコンパクトさで、装置への組み込みしやすいサイズとなっている。繰返し周波数は1Hz-500kHzと広域で熱影響の少ない加工が行える低繰返しでの加工にも使用可能だ。
レーザー発振器フェムト秒IR固体レーザー
RayVen Laser:TruMicro 6030
RayVen Laserは2025年に設立されたメーカーでドイツのルール大学ボーフム超高速レーザー科学グループからスピンオフした企業でフェムト秒レーザー専門メーカーです。今回は同社の2ミクロン帯のフェムト秒レーザーが出展されており、1つが1W「RayVen-S」のメディカル向けでもう1つが10Wの「RayVen-L」産業向け。「RayVen-L」は波長2090nm、パルス幅750fsのフェムト秒レーザーでパルスエネルギーは最大1mJとパワフルだ。繰返し周波数は1Hz-100kHzと広域で微細加工に適したレーザーと言える。
レーザー発振器パルスIRファイバーレーザー
JPT:Halite 2
中国メーカーのJPTでは参考出品としていくつかのファイバーレーザーの展示が行われていた。中でも「CL-2000-100」はファイバーレーザーとしては驚異的なパルスエネルギーを持った製品で100mJのパルスエネルギーを持った100Wレーザーとなっている。まだ参考出品とは言え、この高パルスエネルギーはレーザークリーニングに有利となる。繰返し周波数は1kHz から4MHzでこちらも扱いやすい仕様となっている。
レーザー発振器ナノ秒UVレーザー
LUMENTUM:Q-391
LUMENTUMのブースでは新製品としてピコ秒の「PicoBlade Core」とナノ秒レーザーの「Q-391」が展示されていた。ナノ秒の「Q-391」は波長355nmでパルスエネルギー1mJを繰返し周波数40kHzで発振可能な40Wレーザー。 高スループットが要求される半導体デバイスの加工には高パルスエネルギーと高い信頼性が要求されるが同社のレーザーは半導体マーケットで多くの納入実績があり真の産業用レーザーとして認知されている。
レーザー発振器半導体ブルーレーザー
ALITE:Opal
ALITEは2020年に設立されたイタリアのトリノにあるメーカーでカスタムレーザーを請け負う企業だが、今回は既製品として高出力ブルー半導体レーザー「Opal」の展示を行っていた。「Opal」は300Wから1kWのモデルを持つレーザーで19インチラックマウント4Uのサイズとなっている。ブルー半導体素子は購入品となっている。コネクターはQBHを始めいくつかのタイプに指定することができる。
レーザー発振器半導体UVレーザー
ULTEC:275nm半導体レーザー
ULTECは、窒化アルミニウム系材料を基盤に深紫外線レーザーダイオード、遠紫外線LED、深紫外線センサ、高耐圧パワーデバイスなど、多岐にわたる分野で世界トップレベルの技術力を誇るリーディングカンパニーで、今回は同社が注力しているウルトラワイドギャップ半導体の技術を用いた世界初の275nm深紫外レーザーダイオードの紹介を行っていた。この波長帯になると殺菌効果が高くなり、調理器具を短時間で殺菌できる。パッケージはTO5.6 CANでエンジニアリングサンプルとして販売しているとのこと。
ロボティクス&セキュリティーパビリオン
World of Quantum フォーラム
Integrated Photonics Applications フォーラム
駅から展示会場へ向かう来場者たち
展示会入場ゲート
中庭のフードコート
新ミュンヘン貿易センター