レーザー加工を行うためには光源元となるレーザー発振器の安定性を高める必要があります。今回は励起方式の熱影響についてお届けします。
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固体レーザー媒体の形は光励起で媒体の内部に発生した熱を早く効率よく取り去ることができるように工夫されています。空気や水などの冷媒がある外側になるべく早く熱が出てくるように、ということで一般に細い棒状“ROD“か、薄い板状” DISC“のモノのどちらかが選ばれます。
励起方法は、これらのレーザー媒体に励起光を当ててレーザー光を取り出す際に励起光を当てる方向とレーザー光を取り出す方向との関係で2つに大別できます。レーザー発振の光の方向から見て横から光を当てるサイドポンプとレーザー発振の方向と同一方向か平行に近い方向に励起光をあてるエンドポンプの2つです。原理的に励起光が放射状になるランプ光励起の場合、殆どのレーザー装置でサイドポンプの方法が取られます。
励起光がすでにレーザーであり、励起光の集光が非常に容易なレーザーダイオード励起の場合、どちらの方法を取るかによって装置の性質、性能は大きく変わってきます。一般に、小出力で精密なものはDISCのエンドポンプ、大出力のものはRODのサイドポンプが選ばれています。サイドポンプの変り種(失敬!)として、クラッド励起ファイバーレーザーが挙げられるかもしれません。一方、エンドポンプ方式のものでYb(イッテルビウム)ディスクレーザーというものがあります。Ybイオンは、準3順位系で濃度消光が少なく、ESAがないため、「ホスト結晶に非常に濃く混入してもレーザー発振の能力が落ちず、非常に高い密度の励起をしてもさらに上の順位にエネルギーが逃げることがなく、Ndイオンを使用する媒体と比べてレーザー発振の残りの熱が少なくなる。」という特徴があります。このような特徴を生かすことでエンドポンプ方式でありながら大出力レーザーとして名乗りを上げており、みなさん注目されていることと思います。
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