レーザー加工を行うためには光源元となるレーザー発振器の安定性を高める必要があります。今回はASEについてお届けします。
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ランプ励起の場合レーザー媒質が大きく楕円ミラーを用いて集光させ照射する
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固体レーザーで一般的なNdイオンのように、誘導放出が起き易いイオンをドープした媒体を高い密度で励起する場合、ASE(Amplified Spontaneous Emission)に留意する必要があります。このASEがレーザー媒体の内部で多重反射すると最悪の寄生発振(parasitic oscillation)につながり、せっかくレーザー媒体に蓄積された励起エネルギーが所望のレーザーとして取り出せなくなってしまいます。 固体レーザ媒体は結晶が一般的で、屈折率も高く、レーザーが出入りする入出射面や側面は非常に精度の良い光学研磨されていることが多いため、内部反射が多重反射になりやすい性質があります。 (ASEときくと、読みが“汗”なので、どうしても鏡に囲まれた蝦蟇蛙を想像してしまいます。ホントに鏡を見ると蝦蟇蛙が汗をかくかどうかは知らないのですが・・・汗)比較的大きなのレーザー媒体を使用するフラッシュランプ励起では、フラッシュランプの光をレーザー媒体に効率よく照射するために工夫したリフレクターが、ASEの多重反射に一役買ってし まう場合もあります。このような場合、レーザー媒体やフラッシュランプをフィルタガラスで覆って、発振波長の光をフィルタで吸収してしまう方法が取られます。
図はレンズを使用しないダイレクト入射タイプ。LD励起の場合フラッシュランプ励起と比べるとレーザー媒質が小さい。
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Ndレーザーの場合、サマリウムイオンが用いられます。レーザーダイオード励起の場合、励起光をレーザー媒体の発振する体積だけに集中しやすいので、ASEや寄生発振の影響は顕著ではありませんが、媒体側面を光学研磨する場合、ケアは必要です。今後レーザーダイオードが進歩して、十分かつ安定にパルス励起が出来るようになったら、必ず工夫が要るでしょう。 ファイバーレーザーの場合、寄生発振というよりサージ発生が致命的です。なぜならば、媒体が導波路になっているため、なんらかの反射が導波路に還ってしまうと、時として一方向で千倍以上の利得で増幅されてしまうのです。光通信用EDFA開発の黎明期にはこの手の“事故”が良く起きたようです。以上ASEについてでしたが設計ではASEについても十分ご注意ください。
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