光のローカス
第5回 レンズクリーニング
レンズクリーニングは簡単に思いがちですが奥が深いものです

■レンズクリーニング
さて、今回は前回の予告通りレンズのクリーニングについてお話しします。
フロンが使用禁止になるまではレンズ工場ではフロンを使用して洗浄が行われていましたが、現在では専用の薬液で洗浄が行われています。ユーザーサイトで工場と同じような洗浄を行うのはもちろん無理なので、日常行える方法をご紹介します。レンズクリーニングにおいて最も大事なことは前回もお話ししたとおりレンズに傷を付けないことです。クリーニングでキズを付けてしまっては本末転倒です。では前置きはこれぐらいにして早速クリーニングの手順に進みましょう。


クリーニング用品
●準備
・エアーダスター(ブロワー)
・エタノール(無水)
・クリーニングペーパー
・ハンドラップ
まず、クリーニングに際して必要なモノを準備します。準備品は上記の通りです。すでに常備されているモノばかりだと思いますが無い場合はカメラ店、薬局で揃えてください。エアーダスターはスプレー式のブロワーのことでブロワーよりも風力が強くホコリを除去しやすいのでお奨めします。エタノールはレンズの洗浄液として使用します。必ず無水を購入してください。安いからと言って無水でないモノや消毒用を購入するとレンズに水分が残りクリーニングの妨げとなります。クリーニングペーパーは色々なモノが販売されていますが柔らかいモノの方が使いやすいと思います。ハンドラップとはビンの上に付いた金具を押すと液が出てくる器具でカメラ店でも販売されています。液を付けるときもレンズを置くことなく行えるので必ず購入しましょう。エタノールをハンドラップに入れれば準備完了です。さて準備が終わったのでクリーニングに進みましょう。


拭き上げはらせん状に

●ホコリ・ゴミ除去
レンズ表面のホコリ・ゴミをエアーダスターで吹き飛ばします。ホコリ・ゴミが残っているままクリーニングするとゴミでキズを付けてしまうので、この作業は必ず行ってください。忘れずにレンズの両面とも行ってください。
●前拭き
エタノールをクリーニングペーパーに付けレンズを軽く拭きます。エアーダスターで除去できなかったホコリ・ゴミの除去が目的なので力を掛けずにさっと拭き上げてください。これも忘れずにレンズの両面とも行ってください。
●本拭き
クリーニングペーパーにごく少量のエタノールを染みこませます。その上に指をそっと添えレンズの中心から外周へ円を描くようにらせん円状に回しながら拭いていき、レンズの外周端ではレンズ面と水平にクリーニングペーパーをスッとレンズから離脱させます。力を入れてゴシゴシするような拭き方は絶対にしてはいけません。また一度使った拭き取りしたクリーニングペーパーの箇所にはゴミが付着しているので絶対に使用してはいけません。必ず新しい箇所を使用してください。小さなレンズであれば両面を一度にクリーニングすることも可能ですが、生産性を上げるよりも片面づつでも確実に作業することをお奨めします。
●確認
何度か本拭きを行ったらレンズ表面に軽く息を掛け曇りが一様な模様であれば拭き上げは完了です。しかしあまり神経質に行う作業でもなくある程度の妥協も必要だと思います。汚れを取ることが目的ですがキズを付けないことは絶対事項なのですから。
以上でクリーニング終了です。高価なレンズなので大事に長く使いましょう。
とは言え汚れが落ちなくなったら思い切って買い換えすることも大事です。