光のローカス
第7回 基本のレイアウト(その2)
今回はエキスパンダーを使用した光学系を考えてみましょう。

■ビームエキスパンダー
レーザー光学系ではビームエキスパンダー[図1]という光学モジュールがよく使用されます。ビームエキスパンダーとはその名前が示すようにビームをエキスパンドする、つまりビーム径を拡大するときに使用されます。レーザー光は前回もお話ししたとおり、拡がらないといえども拡がり角を持っています。よってレーザー発振器の出射口から数メートル離れれば十分拡がった光となっています。しかし、それはいわば光濃度を薄めているようなもので、ビームエキスパンダーで拡げるのとは全く異なります。
まず第1にビームエキスパンダーで拡げるといくつかのレンズを透過させて拡げるので、距離を置かなくともビームの直径を拡大することが出来ます。ですから装置を小型化することが可能です。第2により平行光に近い形で結像レンズまで導くことが可能です。


ビームエキスパンダー
■なぜビーム径を拡げる?
ところでそもそもなぜビーム径を拡げるのでしょうか?ビーム径を拡げると何が良くなるのでしょうか?それは結像レンズを有効に使い、レーザー光を出来るだけ絞り込むことにより加工点での出力を得るためです。


NAを大きくとるために
また、レーザー光を絞り込むと言うことはスポット径を小さくすると言うことでもあり、微細な加工を行う際、有利となります。言葉だけではなぜそうなるのかわかりにくいと思いますので[図2]を見ていただければと思います。実際の集光レンズは数枚のレンズを組み合わせたモジュールになってることが多いですが、わかりやすいように単レンズで考えてみます。レンズを透過した光は焦点であるワーク面で集光されます。[図2]には焦点の部分を線画にした図が描いてありますがそれぞれの赤い線がクロスした部分を注目してください。より点でクロスしているように見えるのはビーム径の大きい右の図だと思います。左の図は赤い線が長い区間交わっているように見えます。これがビームを拡げる効果です。